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アムゼルくんの世界 Die Welt des Amselchens 

2008年 10月 30日 ( 2 )

遠ざかる秋


もう十月もおわりをむかえ、冬の気配は日増しに濃くなってゆきます。

ここ数日は、明け方めっけり冷え込みほぼ零度近くまでさがっているようです。

路上に駐車された車のフロントグラスが白く凍り付いているのでそれと知れます。


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華やかに色づいた林や並木もだんだんと葉を落とし、空もどんどん色を失ってゆきます。

この季節の移り変わるとき、それが地球の地軸の傾きによるものと知識では知っていても、感覚的には世界が衣装を替えているようにしか見えません。

そして自分が人としてを多く生き、齢をかさねるたびに、自己の体や精神も移り変わって行くことをますます知るのです。


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善きにせよ悪しきにせよ、こうして生きてきたのだ、そしてあとどれほど生きるかは知れないが、これまでどおり自分以外の世界やしがらみに流されながら生きてゆくのであろう、と自己の矮小な存在をしみじみ思うのです。

秋だから、といってしまえばハナシはおわってしまいますが、でもやはり少し立ち止まって人生の秋について考えてみるのも無駄ではないでしょう。


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できることならば、永遠の夏とはいわずとも、せめて実りある秋にとどまることができればなあ、と考える初老の男がここにいます。

冬の確実なおとずれを肌に感じながらそう思うのでした。
by amselchen | 2008-10-30 22:29 | ZD25 Pancake

ひきはがされる時


季節の取り分というものがる

きちんと払うべきものはもっていかれる

思いきり遊んだ夏には

支払うべき利息さえある

秋はその利息はもちろん

元金さえごっそりと

ふところの底まで手をさしこみ

ねこそぎその取り分を

持ってゆこうとした。


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しばし待たれよ

僕にだって少しの元手を

残してはくれまいか?

またくる年の

支度金として

いくばくかのものを

置いていっても罰はあたるまい。


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うんにゃ、そうは行かんとよ

わしにはわしの暮らしというものを

立ててゆかねばならぬ義理がある

つまらん女房子供にだって

暮らしてゆく権利がある

やつらにとって、このわしの

稼ぎが唯一の頼りだと

どうか知ってくれたまえ

お気の毒だがここのところ

ちいと我慢をしてもらいたい。


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そう言って秋は

あるだけ持っていってしまった

後に残るは寂しげな

季節の爪あとのような

ねこそぎはがされた

時の姿であった。
by amselchen | 2008-10-30 04:35 | ZD25 Pancake