意識の蒸発
中学生のころから、「悟りの境地」とか「仙人」とかにあこがれてきました。
とくに不思議体験をしたこともなく、なぜそんなことを考え続けてきたかわかりません。
性向というしかない自分では分析しようもないこの嗜好は、あるいは前世からもちこしたテーマなのかも知れません。
前世を憶えている人々の住む、シナ奥地の村があるそうです。
その人々が実にうらやましい、と思いました。
ただ、その森田健氏の書物からは、ドラステイックなシナ的風土が漂っていて不思議な読後感をもちました。あまりにも霊的な話ではないのでがっかりしたほどです。
彼らによれば、逝ったあとの「あの世」は「この世」と同じなのだそうです。そしてふとまた「この世」に返されてくるのだと。
なんだか、これまで読んだり聞いたりしてきた「あの世」とはまったく異なっています。
いったいどうなっているのか、森田健氏も困惑しておられるようなのが面白いといえば、面白いですね。
しかし、わたしはこの本を読んでいて、ふと意識が蒸発してしまうような感覚に襲われました。
無意識(Unbewusst)もなにもあったもんじゃないな、という一種の落胆だったかもしれません。
森田氏の続編を待ちたいと思います。
その書とは、『生まれ変わりの村①』森田健、河出書房、1500円、です。文体が好きではありませんが、内容は興味深いので、とりあえずお勧めしておきます。
by amselchen
| 2008-08-10 04:53
| Tamron SP90 2.5